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THE VICINITY OF IZUMO

2021年8月21日土曜日

デモ行進の思い出

はっきりしない天気が続いていますがワリと涼しいのでその点は〇、ただ来週はまた暑くなるようで再びビール(ノンアルだけど)が進みそうです。ところで今まで飲んだ美味いビールの内の一つに、炎天下の中参加したデモ行進「博多行動」を途中で抜け出し居酒屋で飲んだビールがあります。デモ行進については今年6月の日記で前々職の国鉄バス時代に入っていた国鉄労働組合(コクロー)を紹介した時「また別に書きます」としていたので、今回最も規模の大きい「中央行動」に参加した時の様子を書きたいと思います。ただ長文なので興味のある方はお読みください。

デモ行進開始まで
毎回デモ行進のたびに各分会に参加人数の割り当てがあり、特に若手の「青年部」に参加依頼が来ます。当時の勤務地は岡山だったけれど中国地方の国鉄バスは管理局が広島にあったため、職場は国労広島支部の所属でした。ワタシは「人が好いハラダ先輩」と共に岡山から始発の新幹線に乗って開催地の東京へ。元々思想的なものなど無く、分会長に行って来いと言われたから行くだけの至って呑気な二人なのです。東京駅に到着後、事前に聞いていた広島支部の集合場所(組合関係の建物)へ移動、着いた時には既に広島からの参加者が前泊組を含め大勢集まっていました。簡単な説明の後デモ用の服装に着替えましたがその服装はというと、上下紺色の作業服(国鉄ではナッパ服と呼ばれていて、アナーキーというロックバンドがこれをステージ衣装に使っていた)、あと白字で「国労広島」と書かれた赤い腕章をはめ、真ん中に白字で「団結」と書かれた赤いハチマキを締めます。幹部達は闘争のシンボルである赤旗やプラカードを持っていました。

そして全員その格好でデモ行進の開始地点まで移動しますが、最後尾をタラタラ歩いていたワタシ達は集団からはぐれてしまい完全な迷子。「人が好いハラダ先輩」と2人、そのままの格好で山手線に乗り、周囲からジロジロ見られながらも何とか無事に広島支部の集団と合流できました。中央行動には若手組合員が全国から参加するのでその数は凄まじく、確か千とか万とかそんな数字でした。既に中曽根政権下で国鉄の分割・民営化が急速に進められていた時期であったため、その回は特に参加者が増やされたのかもしれません。

デモ行進開始
各支部ごとに横6人並びの隊列を組んでデモ行進スタート。周囲には第1隊から第9隊まで金網を張ったバスで乗り付けた警視庁の機動隊員がビッシリです。そして支部のリーダーは後ろ向きにゆっくりと歩きながら電池式のメガホンを我々に向けて「シュン~~~~ト~~~~!!(春闘)」我々「ショ~~~~リィ!!(勝利)」リーダー「ゴ~~~~リカ!!(合理化)」我々「フン~~~~サイ!!(粉砕)」ってすごくゆっくりとしたテンポだけど大声でスローガンを叫び行進します。すると機動隊の隊長が指揮車の屋根にある金網で囲んだボックスからでっかい拡声器で歩行者に向け「ご通行中の皆様~!!ご覧のように~!!ただいま~!!国鉄の労働組合による~!!デモ行進が行われています~!!警察の指示に従い~!!安全に~!!お進みください~!!」などとガナるもんだから我々もかえって気分が上がり、ゆっくりだった行進もだんだん速くなって「シュントー!」「ショーリ!」「ゴ―リカ!」「フンサイ!」「シュントー!」「ショーリ!」「ゴ―リカ!」「フンサイ!」って感じで、後ろから押されるためだんだん列もブレ始め、しまいには文字通りジグザグデモに発展していきます。

機動隊との闘い
すると「ピピー!!」って機動隊の笛が鳴り響き、デモ行進を両脇から監視していた機動隊員が一斉に飛び出してきて盾でもってジグザグデモを抑え込みにかかります。我々も盾を押し返そうと懸命に抵抗しますが、ただ昔の学生運動みたいにゲバ棒や火炎瓶が登場するワケでは無いので何か運動会で「騎馬戦」や「棒倒し」をやっているような案配、互いにいい汗かいています。ワタシはドサクサにまぎれて列の一番外側にいた「人が好いハラダ先輩」を機動隊に向かって思いっきりぶつけましたが、機動隊の盾によってワタシもろともグワッと押し返されコケそうになりました。普段どんな訓練をしているのか知りませんが屈強な警視庁機動隊員のパワー、恐ろしすぎます。そして再びデモの隊列を整え、最初の「シュン~~~~ト~~~~!!」から始まり、ジグザグデモ、機動隊との死闘?を何度も繰り返していくワケです。そして各支部とも1人や2人は逮捕者が出ます。

デモ行進終了
そんな調子でデモ行進を続け、最終地点の公園(日比谷?代々木?)に全体が集結した後、組合本部から来た幹部による演説や来賓の挨拶があり、最後に「団結、ガンバロー」を全員で三唱してそこはお開き。その後最初着替えた場所に集まり、各種報告と広島支部からも出た逮捕者を警察からどう取り返すかについての説明を聞いた後、簡単な解散式があって終わり。後は新幹線+ビールで「人が好いハラダ先輩」はワタシがぶつけたとも知らずに「機動隊にぶつかって参ったよ~」なんて笑顔で喋りながら快適に帰宅です。行進中にはデモを見物する一般の人から「ホ~、こんだけ人が出ても電車が動いてるから国鉄はこんだけ人が余ってんだ~」ってもっともなヤジが飛びましたが、それは聞こえなかったことにしました。

終わりに
とまあこんな感じの中央行動したが、デモ行進の甲斐も無くその後国鉄は「分割・民営化」の運命をたどって行きました。ただワタシもそうだけど、その時デモに参加していたほとんどの組合員はこの流れには抗えないとわかっていたんじゃないかなあ?言い方は悪いけれど最後の悪あがきって感じでもありました。巨額の赤字を垂れ流した日本国有鉄道、あまり表には出ないハナシですが、赤字の主たる要因は政治家が自己の利権のために地元各地に引いた新規鉄道路線によるものです。ただ国鉄職員の目に余る怠慢勤務と客扱いのひどさ(もちろん真面目に一生懸命働いた国鉄職員も大勢います)のため、最後まで世論を味方に付けることはできませんでした。

以上でハナシを終わります。最後まで読んでいただきありがとうございました。

何故か捨てずにあった、コクローバッジ。