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THE VICINITY OF IZUMO

2022年11月19日土曜日

自宅の前を夜行バス

たまにマイルームからバルコニー越しに、少し離れた県道を走る2階建ての長距離夜行バスを見ることがあります。そのバスはワタシの前々職である中国JRバスが走らせている「スサノオ号」、東京発の下り便は終点が出雲大社なので自宅の前を通過するのです。ただワタシが見る限りいつも1時間遅れぐらいで通るので、寝台特急のサンライズ出雲より運賃はずいぶん安いけれど定時性に欠けるのが長距離バスの宿命ですね。

使っているバスはベルギー製のもので見た目はかなりゴージャス、価格は知らないけれどかなり高そうな感じで中国JRバスも頑張っているなあって思います。運行を担当するのは島根支店で、ワタシより少し年上の支店長も少し年下の副支店長も昔本社や営業所で一緒に仕事した仲、無事に出雲へ戻って来たスサノオ号を見ると何となく2人の顔が浮かび「お疲れ様でした」って気持ちになります。だって東京ー出雲間は単純にみて片道800キロ、毎日使ったとしたら1年間で約30万キロも走るんですよ。その分当然事故や故障のリスクも大きくなるので乗務員は勿論のこと、日々の運行を支える島根支店の苦労もなかなかのものだと思います。

そんなハナシで言うとワタシが本社の運輸部運行車両課で働いていた時のこと、何年か使った東京ー広島間を運行している「ニューブリーズ号」をメーカーでフルオーバーホールすることになりました。これはエンジンや足回りの分解整備や部品交換はもちろんのこと、シートの貼り替えや車体の全塗装など殆ど新車に近い状態にするもので費用もかなりかかります。そしてワタシは普段出ることの無い役員会議に出席するよう指示され、社長達から「もう少し安くできないか」とか「こんな部品まで換える必要があるのか」といったことを聞かれました。

そこでワタシは長距離バスの中でも東京便は特に走行距離が長い事、その分故障やそれによる事故のリスクを多く抱えている事、何よりもお客様の大切な命を預かっている事などを話し「それらを考えると逆に安いぐらいです!!」って言い切りました。結果費用を削ることなくフルオーバーホールを行いましたが、ワタシが技術校に転職して数年後ぐらいから結構頻繁に起きた高速バスの車両火災が一時期社会問題に。ただ中国JRバスについてはそういったハナシを一切聞かなかったので、うん、あの時のワタシの判断は間違っていなかったと今でも勝手にうぬぼれています。

出発を待つスサノオ号、出雲市駅で。